クラシック音楽をやっていた私が、何故アイリッシュやスコティッシュを
やっているのだろうと思われる方も多いと思います。
その出会いや、始めようと思ったきっかけ、
今どのように感じて活動を続けているか・・・について
少し書いてみようと思います。
私は長年クラシックをやってきましたが
時代によって、作曲家によって、そのお国柄や、その時代の社会情勢や
作曲家の思想が作品に表れていることを、とても面白く感じていました。
その中でも私の好きだったものは、長い歴史の中で代々受け継がれてきた
その国の国民性や民族のアイデンティティーが表れている音楽でした。
自国の古い伝説・歴史・風土・国民感情を強く音楽に込めたり
民謡・舞曲などをモチーフにして、作曲された音楽です。
長い歴史の中で、人々が感じたことを音楽にし
それを世代や時代を越えて伝え続けてこられたということを大変尊敬しますし
うらやましく思います。
アイリッシュとの出会いは学生時代でしたが
ずっと演奏していくにつれて、同じようなものを感じました。
厳しい歴史の中で生きてきた人々が感じ、語り継いできた大事なもの、その深さ・・・
そのようなものと関わり自分が演奏する中で
自身の在り方、日本での生き方ということを考えるざるを得ない状況になり
その機会を有難く感じると共に、私も日本でそのような生き方をしていきたいと
思うようになりました。また、クラシックの音楽は
その音楽の流れや音楽に込められた感覚が壮大過ぎて
日本人である私からは少し違和感があり
演奏をする時に常に少し無理をしている感じがありましたが
アイルランドは日本と同じ島国だからか
音楽の旋律や曲の規模などが近いように思えて、親しみを覚えます。
アイルランドへ行った時に、ゴールウェイの町角で
一人の年配の男性が演奏されているのを見ました。
飼い犬のひもを足で踏み、犬がどこかへいかないようにしながら
フィドルを弾いておられたのですが
その演奏にはとても感動したのを鮮明に覚えています。
現在はCDも沢山流通していて、日本にいても色々な音源を聴くことが出来ますが
今までに聴いたアイリッシュの演奏の中で、もっとも好きな演奏の一つです。
アイルランドという場所でその演奏を聴いたということも
そのように感じた要因の一つかもしれませんが
その方がそのご先祖から受け継いできたものや
その土地で生活する中で感じてこられたこと、、、
生きているとだんだん顔に皺がきざまれるように
その方でなければ出せない深い自然な音楽に感動したように思います。
私は日本人で、日本に住み、演奏を続けているわけですが
アイルランドの人達が大事にしてこられたものを
日本人の私なりに消化して演奏できるように、、、
そのようなことを思って、またこれから色々な勉強を続けて
進んでいきたいと思っています。
平野有希のHP
http://y-hirano.skr.jp/
2011年01月15日
私の中での、クラシックとアイリッシュの接点
posted by YUKI HIRANO at 00:00| アイルランド